柏の塾、プラス進研より受験情報ブログ

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大学進学実績の真実

こんにちは、プラス進研です。

 

さて、今日は各高校が発表している大学の進学実績についてです。

 

志望校を検討する際に、3年後の進路や将来のことまで考えることもあると思います。

では、各高校で公表している「大学進学実績」は、『額面通り』に受け取っていいものかどうか?

 

 

このような問いかけをする時点で、答えが『NO!』であることは、想像に難くないと思いますが、この進学実績の『からくり』をご説明しようと思います。高校は人生の通過点です。将来のこともよく考えて選ぶために、よーく研究して、ぜひ高校選びの参考にしてください。

 

まず、進学実績には様々な表現の方法があります。

 

①大学合格者数:一般的に現役・浪人の合計数で、1人で複数学科に合格した場合はそれぞれカウントする。そのため、「のべ合格者数」とも言われる。人数が膨らむため数を多く見せやすい。そのためか、各高校が公表している進学実績で、もっとも多い。親切な高校では、「現役生」と「浪人生」を区別しているケースもある。

 

②大学実合格者数:「実」がポイント。上記①の大学合格者数のうち、同じ大学の複数の学部・学科に合格しても「1人」として集計する。この数字を見ると、難関・有名私立大学に強い高校を知ることができる。基本的には表に出てこない数字と言える。

 

③現役進学者数:「現役」「進学」がポイント。まず、②の合格者数から「浪人」が削除される。さらに、「併願」(合格したけど進学はしない)の受験生が削除される。②の資料の欠点は、1人で複数の大学に合格している分までは考慮されていない点で、数名の生徒が実績を稼いでいる可能性を否定できない。「現役進学者数」は、現役でどれくらいの生徒がその大学に「進学」したかを知ることができ、志望校にストレートで合格できている高校がわかるのが利点。親切な高校は公表している。

 

以上、3通りの見せ方があることを、ご理解いただけたでしょうか。要は、国立大の合格は「1人1校」しか稼ぐことはできませんが、私立大の合格は「1人で複数校」稼ぐことができるのです。ですから、高校説明会等で、「本校からGMARCH以上の大学に100人合格しています」等のPRをする学校が少なくないのですが、この言葉に惑わされないように、中学生とその保護者のみなさんが知恵をつけておく必要があるということです。

 

高校説明会等で話すのは、校長(または教頭)などの管理職レベルと、「入試広報」などと呼ばれる「高校の宣伝部隊」の先生方で、とにかく話が上手ですから、惑わされてしまいやすく要注意なのです。

 

 

そこで、今回は私が作成している資料の一部をご紹介します。この資料を見れば、各高校の

 

①大学合格者数、②大学実合格者数、③現役進学者数

 

が一目でわかります。当然、「①>②>③」となるのですが、右端の卒業生に対する割合をみると、「③現役進学者数」の低さに驚かれるかもしれません。が、これが現実なのです。

 

 

ご存知の方も多いことかもしれませんが、近年の私立大学入試は『定員の厳格化』(入学者が定員を大きくオーバーすると、国の補助金が削減されるルール)によって、各大学は一般入試における合格者を相当絞っています。ですので、以前は早慶に合格できるほどの受験生がMARCHクラスに、MARCHクラスに合格できた受験生が日東駒専クラスへと、確実な合格を求めてスライドして受験する傾向になっていて、進学校と言われる高校からも、なかなか有名私大の合格者が伸びていない現状です。

 

では、ご覧いただきましょう。

 

 

上表は以下を情報源としています。
①大学合格者数:各高校のホームページで公表されている数値(現役・浪人の合計)
 ※「合格者数★」の高校は、週刊朝日4月19日号に掲載された数値。(現・浪含む、一般試験のみの人数)
②大学実合格者数:週刊朝日5月3日-10日号に掲載されている数値
③現役進学者数と国公立大学の現役合格&進学者数:週刊朝日6月21日号に掲載されている数値

 

 

ちなみに、こんなこともわかります。

 

■「合格者数-実合格者数」が大きい高校は、1人で複数の学部・学科に合格していることになります。つまり、一部の実力ある受験生が合格を勝ち取っているということです。
■「実合格者数」が大きい学校は、純粋に力のある受験生がそろっているということになります。

 

■「実合格者数=(≒)現役進学者数」となっている高校は、「推薦入試」による合格が多いと考えられます。つまり、指定校推薦やAO入試、スポーツ推薦などを利用しているケースですね。上位の生徒に指定校推薦を出すため、上位の生徒しか有名大学や国公立大学には進学できないケースが多いのです。

 

なお、「★」のある高校で、「合格者数<実合格者数」となっている場合がありますが、これは合格者数において推薦入試等の合格者数がカウントされていないためです。

 

 

 

 

 

いかがでしたか?

 

 

 

 

少しずつ解説を加えていきたいと思います。

 

 

まずは、公立高校の進学実績の状況から。

 

 

国公立大と有名私大の現役進学率をみると、千葉県公立の御三家、船橋高校(67%)や東葛飾高校(62%)は、浪人率が30%程度(難関大に合格したいので妥協しない)の高校ですので納得できますね。4年制大学へ進学するほとんどの生徒が表中の大学を中心に有名大学へ進学を果たしているようです。

 

 

ですが、70%~80%が4年制大学へ進学している薬園台(普通科)や小金、県立柏はすべて40%台となり、柏南、鎌ケ谷、幕張総合にいたっては30%前後と、なんとも心もとない状況です。

 

 

確かに表にない上位大学(成・成・独・国・武や津田塾・東京女子・日本女子や薬科大など)もあります。ですが、さすがに20%~30%上乗せできるほどの数にはならないでしょう。せめて60%くらいが上表の中に含まれていれば、他の上位大学への進学者数を考慮して悪くないと思うのですが。。。

 

 

表に出ない実合格者数では、船橋東葛飾が200%超、薬園台・小金・県柏が100%前後、柏南・鎌ケ谷・幕張総合が60%前後です。公立高校の場合は、高校受験の偏差値で、見事に序列化されています。『同じくらいの偏差値で、この学校は良い』ということがありません。公立高校へ進学した多くの生徒が予備校に通って、一生懸命受験対策をしていると思います。よく、予備校の実力もささやかれますが、これが現実です。公立の場合は、入学した高校(環境)で将来の可能性が見渡せてしまうのです。

 

 

「1つでも偏差値の高い高校を目指せ!」と言う塾の先生が多いことを、私が100%反対できないのは、毎年このデータがあるからです。ただ塾の実績(合格した人数)のために言うのであれば大反対です!

 

 

 

 

しかし、私立高校を見てみると、若干様子が異なります。これは、私立高校の場合、「コース制」を敷いている高校が多く、在籍の生徒の学力幅が広いこと、大学附属や併設の高校の場合は、系列大学への進学状況によって割合が高くなることなど、私立特有の事情があるからと言えるでしょう。また表中「〇」印の学校は、中学校からの6年一貫教育の募集も行っている高校です。その部分も、公立高校とは事情が違います。

 

 

芝浦工大柏は、芝浦工業大学への進学者数43名を含めると61%になります。浪人が約20%ですので、他の上位大学を考慮すれば悪くない数字と言えます。ただ、併設中学から6年教育の生徒が多い(179名・約60%)こと、高校入学者(102名・約40%)についていえば、東葛飾を不合格になって入学した生徒が多い(東葛飾レベルの生徒が入学している)こともあるので、何とも言えませんね…。6年一貫生だけの実績を出してくれるといいのですが…。まぁ、小金・県柏より進学率は高いので、妥当なのでしょう。

 

 

専修大松戸は、高校入学生(230名・約55%)が頑張っているようです。そのうち、138名(60%)が表中の大学に進学しています。県立船橋東葛飾の併願受験生が多く入学していること、進学率東葛飾と小金、県柏の間になりますので、実力通りなのでしょう。専修大松戸は高校入学者のほうが成績が良いのかもしれません。

 

 

麗澤は芝浦柏と同様に、6年一貫生(104名)だけの実績が出ていないので、高校入学(148名)の生徒がどのくらいの実績を出しているのかがわかりません。高校入試の併願状況は県柏→小金→東葛飾の順なので、県柏・小金と柏南の間に入るのは納得です。が、柏南や鎌ケ谷と比べても、あまり変わらないのは、私立として考えると物足りない印象を与えてしまうかもしれません。やはり、定員厳格化の影響を受けているのでしょうか。

 

 

土浦日大東洋大牛久は付属校のため、系列大学への進学者数が際立っています。両校ともにコース制なので、各コースで進学状況に差があるようですが、付属校というのはメリットが大きいですね。土浦日大の総合進学コース、東洋大牛久の進学コースは主に柏南や鎌ケ谷、さらには柏中央といった高校の併願受験生が多いようです。柏南や鎌ケ谷の日本大学東洋大学の実合格数と比較しても、そのメリットの大きさが伝わります。ちなみに、日本大学は今春実施した、付属校の生徒を対象とした一般試験を『N方式』は、『受験料無料』で複数の学科を併願できる形式だったようです。そのため、土浦日大日本大学の合格者数が751名と桁違いに多いのです。これもすごいことですね。なんせ受験料無料なのですから。(ちなみに、次年度以降、同じ形式かどうかは未定のようです。)

 

 

それ以下の高校は…ご覧の通りです、としか言えませんね…。

 

 

県柏や柏南、柏中央といった高校の併願校(というよりもすべり止め)に使う生徒が多い高校ですが、私から言わせると、私立として高い学費まで払って…。という印象です。これならば、公立高校に入学して自分に合った予備校(環境)だったりに費用をかけたほうが良い気がします。自分で選んだ予備校(環境)であれば、大学受験で合格しても不合格でも自分の責任ですからね。

 

 

この中には、高校入試の内申基準を考えると、それなりに成績のいい生徒を集めている高校もあるのですが…。いったい、高校の授業はどうなっているのでしょう!?

 

 

どうだったでしょうか。
ただ、一つ言えることは、入った高校の環境で、将来の見通しは大きく変わるということです。

 

 

よく、「ついていけないかもしれないから…」とランクを落として高校受験をさせたがるが家庭がありますが、私は賛同しかねます。本人が『通いたい』という意思をもって受験し、前向きに高校生活を送れば、その学校の生徒になれると思います。最下位で入学しても、周りの生徒(友だちになるメンバー)が自然と引っ張ってくれます。そんなものです。

 

だから、自分の学力云々は別として、『通いたい』と思う高校に出会ったら、まず一生懸命に勉強してください。

 

以前、ある私立高校に最下位で入学した教え子がいます。その子は、最終的に現役で早稲田大学に入学して立派に就職しました。

 

『たまたまでしょ?』と思う方もいらっしゃるでしょう。ですが、私はあくまで『可能性』の話をしているのです。

 

 

先日の私立高校一斉説明会で、ある高校の先生がおっしゃいました。

 

「受験でも高校生活でも成功と失敗のカギは、『前向きに一生懸命になれるかどうか』だと思います。できれば成功するし、できなければその時点で失敗じゃないでしょうか」

 

私も、その通りだと思います。